48 奇岩
一押しは「お父さん」
日本中至る所に「奇岩」がある。
自然が作り出した妙だ。名前が与えられることも少なくない。
北海道せたな町の「親子熊岩」、秋田県男鹿市の「ゴジラ岩」などは、
まさにその名の通りの形をしており、観光名所にもなっている。
桜島の溶岩も、たくさんの奇岩を作りだした。
「西郷岩」は、西郷隆盛の横顔に見えるといわれる溶岩だ。
500mほど離れた場所には「たぬき岩」もある。
強引に名付けた感じも少しするが、観光マップに掲載されるミニ名所だ。
今日はガイドブックには載っていない桜島の奇岩を紹介してみたい。
名前は勝手に付けさせていただいた。
まずは、有村溶岩展望所にある「ライオン岩」だ。
これは、ほとんどの方に「ライオンだ!」と納得していただけるだろう。
どしりと構えた凛々しい姿で、観光客を出迎える。
景色が美しい展望所だが、この岩もぜひ探してほしい。
次は、溶岩グラウンド近くの遊歩道にある「イルカ岩」だ。
大きな壁のような溶岩の一角に、イルカがちょこんと顔を出す。
図鑑に出てくるようなリアルな表情をしており、見つけたときにはうなってしまった。
これも自信あり。
そして、最近の一押しは写真の岩である。
皆さんにはどのように見えるだろうか。
ボクは、「お仕事帰りのお父さん岩」と呼んでいる。
左側を向いた顔とちょっと疲れた背中...のように見えてはこないだろうか。
ボクにはそうとしか思えないのである。
ここ赤水展望広場には、「叫びの肖像」という力強い溶岩彫刻がある。
対比するのも面白い。
紙幅の都合でここまでであるが、まだまだ思い当たる岩がたくさんある。
子どものような想像力で溶岩原を歩けば、どれほどの奇岩が発見されるだろう。
ボク達の心の持ち方ひとつで、桜島の「面白い」はどんどん増えてゆく。
『南日本新聞』 2014年4月22日「桜島ルーキー日記(奇岩)」 ※筆者本人により一部加筆修正