【解説】もっと詳しく桜島の状況を知りたい方へ
2015年08月15日
もっと詳しく桜島の状況を知りたい方へ(^^)
「火口から3km以上は100%安全です」と思われたら困るな。。。という反省も込めて、桜島の状況をちょっと詳しく書きます。
今日の7:30頃から急激に膨張しはじめた桜島は、9:00頃にさらに急速に膨張しつづけ、10:30くらいから更に勢いを増し、これまでにないスピードで膨張していきました。また、有感地震が10:50くらいから14:50くらいまでの間に5回ほど発生しています。
この膨張のスピードと膨張量は、1985年からはじまった地盤変動(傾斜計・伸縮計)の観測の中で最大だそうです。また、有感地震が数回おこったり、火山性地震(A型地震)が群発したのも大変珍しく、これまでにない現象が続いています。
1955~1985年の間にも桜島は噴火していますが、この時期には地盤変動(傾斜計・伸縮計)の観測がされていないので、過去の実績と比べることが出来ません。どうなるか正直なところ「分からない」のです。
ただ、地盤変動からマグマの量を推定すると、最近の昭和火口の噴出量の1~2ヵ月分のマグマが蓄積されているようです。もし一気に噴出すれば、過去60年間に起こった桜島のどの噴火よりも大きい噴火をするかもしれません。ひょっとしたら、いつもと同じくらいか、ちょっと大きいくらいかもしれません(2012年7月24日とか2013年8月18日の噴火くらい)。
良く分からない(予測できない)ですが、過去60年間に起こった桜島のどの噴火よりも大きい噴火をするかもしれないと仮定して警戒すべき状況です。(ただし、現在の地盤変動からは大正噴火クラスの大噴火は想定しなくて良さそうですが、急激に状況が変化することはあり得ます。)
気象庁は「火口から3km以内を警戒」としていますが、噴火の規模を正確に予測することは大変難しいので、「火口から3km以上は100%安全です」とは言い切れないと思います。
とはいえ、これまでの地盤変動から推定される噴火の規模は、噴火口から3km以内に噴石と火砕流が到達する程度と考えられています。この範囲にある地域(有村、古里、塩屋ヶ元)の住民は全て避難が完了していますし、桜島の多くの地域は火口から4km以上離れています(3~4kmにあるのは東桜島、持木の2地域)。
桜島港や桜島ビジターセンターは火口から約6km離れています。
今(8月15日現在)、観光に来ることはお勧めできませんが、この状況を理解した上で納得して頂ければ、桜島に来ることは可能です(^^)
桜島フェリーは通常通り運航中ですし、桜島ビジターセンターも明日は開館予定です(^^)
一つの情報として参考にして頂ければ幸いです。
【おまけ】
ちなみに、現在(8月15日21:30頃)地盤変動の急激な膨張は落ち着きはじめ(それでも、いつもよりずっと早いスピードで膨張を続けていますが・・・)、地震も少なくなっています。でも、これで噴火しなくなったわけではありません。むしろマグマの通り道が完成して、噴火するためにマグマが上昇し始めたことを意味しているかもしれません。
引き続き警戒してください(^^)
桜島の情報はこちらにもあります。
<文責:桜島ミュージアム 理事長 福島大輔>