桜島を知る

鹿児島港桜島フェリーから望む桜島

噴煙を上げ続ける桜島の姿は、多くの人々を魅了します。
溶岩原や展望スポットを見学すれば、非日常の景色に驚くことでしょう。
海を挟んでわずか4kmの場所には、約60万の人口を抱える鹿児島市街地。
その市街地よりフェリーでわずか15分というアクセスの良さも魅力です。
生きた火山を一目見ようと、日本はもちろん、海外からも観光客が訪れます。
桜島は、生きている地球の鼓動を感じられる、世界でも稀な場所なのです。

桜島ってどんなところ?

桜島の基礎知識

錦江湾に浮かぶ桜島は、鹿児島のシンボルといわれています。高さ1,117ⅿ(北岳・御岳)、面積約80km²、周囲約52km。北岳・南岳の2つの主峰から成る複合火山です。霧島錦江湾国立公園に指定されています。

桜島は約26,000年前に誕生し、17回の大噴火を繰り返してきました。以前はその名の通り「島」でしたが、1914年の大正噴火で流れた溶岩によって海峡が埋め立てられ、大隅半島の一部となりました。

現在も毎日のように小規模な噴火を繰り返しています。2011年の爆発的噴火は996回を数え、観測史上最多を記録しました。

桜島と共に暮らす生活

桜島の町並みから桜島を望む
桜島の町並みから桜島を望む
桜島の町並みから錦江湾を望む
桜島の町並みから錦江湾を望む
桜島大根畑
桜島大根畑
塩屋ヶ元港
塩屋ヶ元港
桜島の町並みから桜島を望む
桜島の町並みから錦江湾を望む
桜島大根畑
塩屋ヶ元港

桜島には約3,500人が暮らしています(2024年4月現在)。
古くは縄文時代から、人々はこの地での生活を始めていたそうです。
大噴火や土石流など、火山災害を受けながらもこの地に住むのは、火山のもたらす恵みがあるから。
桜島大根、桜島小みかんといったおいしい農作物、日々の疲れを癒す豊かな温泉、
山や集落の美しい景観は、火山の恵みといっていいでしょう。
現在の噴火も日常生活の一部。桜島の人々は、火山とともに暮らしています。

桜島の誕生と成り立ち

約29,000年前、現在の錦江湾きんこうわん北部で超巨大噴火が起こり、「姶良あいらカルデラ」と「シラス台地」が形成されました。
その約3,000年後、約26,000年前に姶良カルデラの南端で再び始まった噴火活動により桜島が誕生しました。

姶良カルデラ

姶良カルデラと火砕流
黒色の部分にシラス(入戸火砕流)が分布する

姶良カルデラが形作った錦江湾

超巨大噴火で地下のマグマが噴き出し、その後、空洞化した地下へ地表が崩れ落ち、「姶良カルデラ」が形成されました。このカルデラに海水が流れ込み、現在の錦江湾奥の地形が形作られたのです。

「カルデラ」という言葉はポルトガル語で「大鍋」を意味します。姶良カルデラは南北約23km、東西約24kmの広さで、その規模は阿蘇カルデラにも匹敵します。錦江湾の奥に広がる崖の風景は、まさに水をたたえた大鍋のようです。

シラスの崖

シラスの崖(垂水市新城)
赤部分に人。その厚さに驚く

火砕流が創り上げたシラス台地

噴火によって地表に噴き出したマグマは、火砕流(入戸いと火砕流)となって半径70km以上の広範囲にわたって地面を覆い尽くし、広大な火砕流台地を形成しました。この台地が「シラス台地」と呼ばれています。

シラス台地の厚さは場所によっては100mを超えることもあり、その規模の大きさがうかがえます。また、このとき噴き上がった火山灰(姶良Tn火山灰)は、遠く離れた日本各地でも確認されています。

桜島の噴火の歴史

桜島は北岳と南岳という2つの火山が合体してできた複合火山です。
桜島は、約26,000年前の誕生以来、17回の大噴火を繰り返してきました。
その噴火活動は、北岳の活動期と南岳の活動期という2つの時期に分けられます。

北岳(御岳)の活動

約26,000年前の桜島の誕生以来、たびたび噴火を繰り返しました。約12,800年前の大噴火では、鹿児島市街地付近で約1m、鹿児島県全域で約10cmの軽石が降り積もるなどしましたが、約5,000年前に活動を休止しました。

南岳の活動

約4,500年前に南岳の活動が始まり、北岳に覆いかぶさるように成長しました。それ以来、南岳は現在に至るまで断続的に噴火を続けており、桜島の火山活動の中心として非常に活発な状態が続いています。

近代以前の大噴火

奈良時代の天平宝字(764年)、室町時代の文明(1471年)、そして江戸時代の安永(1779年)には、桜島の大規模な噴火が記録されています。

大正大噴火

大正噴火(1914年)では、大量の溶岩が流れ出し、それまで島だった桜島が大隅半島と陸続きになるという大規模な地形変化を引き起こしました。

昭和の噴火

昭和の噴火(1946年)は、溶岩を流した最後の噴火でした(爆発的な噴火を伴わなかったため、17回の大噴火には含まれません)。

現在の活動状況

1955年から火山灰を噴出する噴火活動が再開され、現在もその活動は続いており、桜島は今も生きた火山として活発に活動しています。

桜島の2つの火口

昭和火口の噴火
昭和火口の噴火
昭和火口
昭和火口
南岳山頂火口
南岳山頂火口
昭和火口の噴火
昭和火口
南岳山頂火口

桜島の南岳には、2つの活発な噴火口があります。
一つは南岳東側斜面の8合目付近に位置する「昭和火口」、もう一つは「南岳山頂火口」です。
これらの火口は交互に噴火活動を繰り返しており、2024年現在では特に南岳山頂火口が活発に活動しています。

南岳山頂火口

1955年から断続的に活動を続け、1960年代後半から1970年代にかけて爆発回数が減少しました。しかし、その後1970年代から1980年代には再び活発な噴火が続きました。1990年代から2000年代初頭にも頻度は低下しましたが、2020年と2022年には最大級の噴火を観測し、2024年現在も桜島の主要な噴火口として活動を続けています。

昭和火口

昭和火口は、1946年の噴火で溶岩を噴出した後、長い間活動を休止していましたが、2006年に再び噴火を開始し、2012年までに多くの爆発的噴火を記録しました。この期間には噴煙の高さが5,000mに達するなど、火口の活動が非常に活発でした。しかし、2017年以降は活動が落ち着き、2024年現在では静穏期に入っています。

桜島って登れるの!?

御嶽登山口

武町にある「御嶽登山口」の石碑

現在、噴火の危険があるため桜島の登山は禁止されており、一般観光客が行ける最高地点は湯之平展望所(373m)です。

かつては登山道があり、多くの人が山頂を目指していましたが、1955年の噴火事故をきっかけに入山規制が始まりました。桜島武町には「御嶽登山口」と刻まれた石碑が残り、かつての登山の歴史を伝えています。

御嶽登山口を見る

桜島観光へ行こう!

壮大な姿や溶岩原、展望スポットで体感する非日常の景色を目当てに多くの観光客が訪れる桜島。桜島港桜島フェリーターミナル周辺には、足湯や天然温泉、桜島の歴史や自然を学べる観光スポットが充実しており、徒歩でふらりと訪れるだけでも十分に満喫できます。

桜島周遊バス「サクラジマアイランドビュー」を利用した手軽な観光はもちろん、外周道路約36kmの道を車でドライブしたり、自転車で巡るアクティブな楽しみ方もおすすめです。

ぜひ、世界でも珍しい生きた活火山の魅力を体感しに、桜島を訪れてみませんか?

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